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富山県黒部市で「地域におけるSDGs実践セミナー2019・地域循環共生圏」を開催しました

2019.12.04

開催日:2019年11月28日開催
場 所:立山黒部ジオパーク交流施設 わくわく広場うなジオ
参加者:44人

SDGsに貢献するために地域においてどのような取組みが必要なのか、黒部市で実践セミナーを(一社)環境市民プラットフォームとやま(PECとやま)と共同で開催しました。今回のテーマは「同時解決」。
会場の「立山黒部ジオパーク交流施設 わくわく広場うなジオ」は地元の山岳建設の専門家である大高建設㈱が持つ寮の1階を公共施設として整備し開放している交流スペースです。冷たい雨が降る寒い日でしたが、薪ボイラー暖房で暖かくなっていました(この薪はセミナーの話題提供に出てくる障がい者の作業で作られたものです)。

中部地方環境事務所と大高建設㈱社長の後、基調講演で登壇したのは一般社団法人Green Down Projectの長井一浩理事長です。その活動内容は、ダウンジャケットや羽毛布団の「羽毛」を障がい者の解体作業を含めたリサイクルシステムで資源循環するというものです。「羽毛」は食肉用の鳥の解体副産物が供給源ですが、世界的なダウンアパレルの需要増加に伴い不足しがちで、値段が高騰し、中には悪質な業者が紛れ込むなど、その持続性が危ぶまれていたとのこと。Green Down Projectは羽毛再生技術を開発したメーカーからの相談をきっかけに、アパレル関係、障がい者施設、小売店などに呼びかけ現在100以上の会員のもと羽毛の再生システムを立ち上げ、昨年は60tもの羽毛を再生、製品を販売するという実績を上げています。アパレル業界では障がい者の就職が非常に困難だったそうですが、このシステムに関与することにより賃金が10倍になるなど、全ての関係者がwinwinの関係になるシステムとして機能しています。これにより福祉や資源循環はもちろん、CO2削減や新しい雇用にも貢献しており、SDGsの8,9,12,13、17などに貢献している、まさに同時解決性を具現しています。

次にPECとやまの堺さんより、「地域内エコシステム@宇奈月」と題して事例紹介がありました。地域の方々と協力して、木材を薪に地域の暖房・給湯に活用する仕組みを作り、地域経済を回す活動で、林野庁の補助金を得て実験を行っています。林地残間伐材→ 運搬 → 玉切り → 薪割り → 乾燥 → 運搬 → 投入 → 薪ボイラー稼働、という流れを、新川森林組合、大高建設㈱・富山県立大学、障がい者施設の宇奈月自立塾が分担して行うというものです。地域の木を使い、地域の人々で資源とエネルギーの地産地消を行うことで、様々な地域課題を同時解決しSDGs7,8,10、13、15、17に貢献するというお話でした。宇奈月自立塾で自立支援就労を行っている牟田さんからは、作業の様子について説明があり、牧造りの作業では丸太は力持ちの男子が、薪運びは女の子がというように役割分担で作業しており、外で自然物の木を使うことは楽しそうとのことでした。
その後のワークショップでは「コミュニケーションの目的は相手を動かす」ことを念頭に「自分を知る」ため自己紹介キーワードを体に貼って話し合いをするなど、「伝える」と「伝わる」は違うということを実感できるワーキングを行いました。終了後は懇親会も行われ、和やかな雰囲気で濃密な交流の場となりました。

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